宮城県聴覚障害情報センターは、聴覚障害に関連したさまざまなサービスを提供する総合的なセンターです。

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ろう重複って何だろう? 「もっと知りたい!エピソード集」

もっと知りたい!エピソード集
 
 


 
 




























   高等部を卒業してから18年間、そよかぜ広場に通っています。毎日通うことで、生活リズムも安定していました。簡単な仕事のほかにあいさつやコミュニケーションなど、基本的な生活習慣の定着にも力を入れて支援していただいています。自ら関わることの少ない子でしたが、進んで周囲と関わったり、意思表示をしたりするようになってきました。
                            ろう×知的障害

 高等部の卒業証書をニコニコして受け取った息子は「これからは家でのんびりできる」と思ったみたいです。というのも、作業所に通い始めると「おれは行きたくない!」と暴れ、行っても早退したり休んだり、作業所近隣のお宅へ勝手に家庭訪問をしたり…。繰り返すこと1年半。作業所スタッフのみなさんにあらゆるコミュニケーション手段を駆使していただき、安定の道を探ってもらい、通所を受け入れるようになりました。
 ところが、2年目は私への不満を爆発させて、睡眠時間が安定しなかったり、不規則行動をとるようになりました。息子の目は血走り、三角に吊り上がり、興奮状態が続きました。私はこの状況と不安を誰かに聞いてほしくて、数年ぶりに養護学校で親しくしていたお母さんに電話をしました。すると、障害児を診る精神科の先生の講演会で聞いたということを教えてくれました。「一番困っているのは本人だからね。本人の思いが消えるまで十分に付き合うと、これからのその後の長い人生が楽になりますから、付き合ってあげてください」。高等部時代の担任の先生からは「お母さんの行動を真似しているから、しっかり行動を説明すること」という助言や、障害者年金申請のためにお会いした精神科の先生には「ぼくたちはお母さんの愚痴は聞きますが、息子さんを助けられるのはお母さん方ご家族です」…よし!息子の気が済むまで付き合うしかない!と思いました。現在36歳の息子は、20代の頃よりは、ましな息子になったと思います。
                            ろう×知的障害

 娘は生活介護判定です。とはいえ、できることがあれば「働く」ということを体験させたい、その中で社会のルールや働くことの喜び、達成感を味わわせてあげたい、と思いました。指導員とのコミュニケーションは、聴覚障害があるだけでも大変ですが、知的障害・発達障害があるので、対応が難しいと思います。パニック状態になり、他の利用者さんや指導員さんに怪我をさせてしまったり、ガラスを蹴って割ったりといろいろ迷惑をかけています。そよかぜ広場では、その都度一人ひとりに対応していただき感謝します。「お仕事がんばりました!」と報告があると嬉しいです。娘は毎日仕事に行くものだと思っていて、休みが続くと「何で行かないの?」という顔をして行きたがります。賃金をいただくと、嬉しそうに親に見せに来ます。作業所は娘にとって、小さな社会です。作業のやり方、生活の中でのマナーなどを指導していただくだけでなく、仲間との関係などいろいろなことを学んでいます。
                       難聴×知的障害×発達障害

 高等部の時、目が充血したので病院にいくことになりました。看護師さんが問診で近寄って来た時、娘はぱっと看護師さんの手を握りました。看護師さんはびっくりしたのでしょう、娘の手を振り払いました。娘は握手をしてもらえると思っていたのでびっくり!そのあと、やっとの思いで病院を出ました。娘にきちんと説明して約束しておくべきだった…と反省しました。初めて会う方には、障害のことやその特性を伝えておかなければと思いました。娘にも、してはいけないことをしっかり教えておくことが大切だと思いました。
                       難聴×知的障害×発達障害

 いまでも「ことば絵じてん」などのような視覚的に理解できるものを手話を活用して、人との接し方やマナーなどを伝えています。
                       難聴×発達障害×知的障害

 当たり前に聞こえる情報が全くない、目からの情報も入らない世界に娘はいます。孤独感や苛立ちは、多々あることでしょう。コミュニケーションは生活していく中では誰もが欠かせない大事なもの。だから時々イライラもするけど…通じ合えたときの喜びは、心が躍ってしまうほど嬉しくなります。言葉のやりとりは、人を豊かにしてくれます。思い出したり、楽しいことを待つ横顔もいい!この先、10年後、15年後、彼女が仲間と笑う姿や、支援者の方と手話や指文字でコミュニケーションしながらほほえむ様子が見れたら嬉しいなあ。
            聴覚障害×視覚障害×運動失調による下肢機能障害

 よいところで、よい人と出会うのって大切です。
                              ろう×●●

 様々な経験や楽しみが、本人が自ら進んで表現したい!という気持ちにつながっています。
                              ろう×●●

 どの親にも共通していることでしょうが、わが子の未来への願いです。今、息子は通所施設に通いながら、自分らしい暮らしを目指しています。この自分らしく生きることを、親は絶対にあきらめてはいけません。そのために、息子と親、支援者間で共有できるコミュニケーション手段を少しでも増やす努力をし続けることだと思っています。とにかく可能な限り、本人とまわりの人とのコミュニケーションを図ること。そうすることで、心の安定を図り、孤立しないようにし、緊張や不安を少なくして、本人が障害を持ちながらも生きる希望、喜びを知ること、私たち親なきあとも息子なりの幸せな生涯を送れるようにと願いを込めて、これからも命ある限り、親としてコミュニケーションのサポート役を務めたいと思っています。
                  ろう×発達障害(自閉症)×知的障害